B型肝炎(ビーガタカンエン)
感染経路
B型肝炎ウイルスは血液・精液(先走り液)・膣液に含まれ、これらが粘膜や傷口に接触すると感染のリスクがあります。
また、皮膚への接触では感染することはありません。
セックスでは、おもに以下のような行為によってB型肝炎に感染する可能性があります。
- コンドームをつけずにペニスを膣やアナルへ挿入する・される
- コンドームをつけずに膣やアナルの中で射精する・される
(ペニスを挿入する側にも尿道口などからHIVに感染するリスクがあります) - コンドームなしで他者のペニスを舐める(フェラチオ)
- 他者の膣を舐める(クンニリングス)
- フェラチオをしている時、口の中に精液を出される、出された精液を飲む
(口内や喉に傷や炎症がある場合、感染する可能性がより高くなります)
B型肝炎ウイルスは感染力が強く、オーラルセックスでも感染しやすいために一定周期で流行します。
また、刺青やピアスの穴あけの際などに器材を共有した場合も、血液を介して感染する可能性があります。
症状
急な発熱、だるさ、吐き気、濃い色の尿が出る、黄疸が出る(目の白い部分、皮膚が黄色っぽくなる)などの症状が出ます。
まれに重症化するほかに、B型肝炎が慢性化(ウイルスが体内に残る)することがあります。
慢性化した場合、将来的に肝硬変、肝癌などのリスクが生じます。
無症候期間
潜伏期間は約3ヶ月間(4週間〜12週間)です。
治療法
一般的に2〜3ヶ月程度で症状がおさまりますが、症状によってB型肝炎ウイルスに有効な薬の服薬治療、入院して安静にするなどの治療が必要となります。
また、B型肝炎が慢性化していた場合、B型肝炎のウイルスを抑え込むため内服薬を服用することがあります。
B型肝炎を治療する薬の中にはHIVの治療に使われる薬もあります。そのため、抗HIV薬とB型肝炎の治療薬が影響し合うことや、B型肝炎、HIVそれぞれに薬が不十分に効いてしまう可能性があります。
- HIVに感染しているかわからない場合、B型肝炎の治療を始める前にHIV検査を行います。
- すでに抗HIV薬を服薬している場合は、薬剤の調整をする必要があります。
予後
治療の終了の判断は慎重に行う必要があり、肝炎に精通している医師の診察が望ましいです。
通常、自然に抗体ができた場合には、再感染することはなくなります。
妊娠・出産への影響
母親がB型肝炎ウイルスキャリアの場合、出産時に血液を介して胎児に感染する可能性があります。
しかし、出産直後・生後1ヶ月・生後6ヶ月に必要な免疫やワクチンなどの注射をすることで、ほとんどの感染を防ぐことができます。
ワクチン
B型肝炎ワクチンによる予防が可能です。
一般的に病院・クリニックで3回の接種が必要となります(初回、1ヶ月後、6ヶ月後)。
ワクチンの接種費用は1回につき5,000円〜10,000円程度で、健康保険適用外となります。
他者への感染リスク(治療前〜治療後)
治療前は、オーラルセックスなどでも他者へ容易に感染させるリスクがあります。
治療後は、体内のB型肝炎ウイルスが減少しているため、通常他者に感染させる可能性はなくなります。血液を介して感染するため、薬物使用時に針を共有することで他者へ感染させてしまうリスクがあります。